
第60回全日本剣道選手権大会が日本晴れの下、日本武道館で開催された。高鍋選手の3連覇が期待される中、大阪代表の木和田選手が決勝で東京代表の内村選手を小手で下し、見事初優勝の栄冠に輝いた。私は昨年に引き続き審判員として参加した。今年5月、イタリアでの世界剣道選手権大会や今回の全日本剣道選手権大会を通じて感じたことは、有効打突の定義である。全剣連試合審判規則第12条では、「有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し残心あるものとする。」と規定してある。私は多くの試合審判を観たり、経験したりする中で、次のように考える。剣道は対人競技であり、お互いの攻防の中で隙を見つけ、その隙を打突する。この相手との攻防が格闘技としての剣道の特性である。現行の規定は、打突者一人の打突状況を表現しており、居合道を連想させる。剣道の特性である相手の存在が表現されていない。日本剣道形においても太刀の形7本は、「機を見て打つ」と打突の機会の重要性を教えている。勿論、「剣道試合・審判・運営要領の手引き」には、有効打突の要素として機会を記述しているが、要素よりもっと大切な内容であると考える。いわば残心と同じ考え方が適切ではなかろうか。私は「有効打突は、打突の好機に充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し残心あるものとする。」と定義したいが、剣友諸兄は如何に考えるであろうか。
打突の好機→打突の要件・要素→残心
佐剣連理事長 寺崎邦朗